日本教育史学会

日本教育史学会は1941年から毎月の例会を開始し、石川謙賞の授与と日本教育史学会紀要の刊行を行う、日本の教育の歴史についての学会です。

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2016年5月28日(土) 第602回例会:石山秀和氏【プログラム・ノート】

2016年5月28日(土) 第602回例会:石山秀和氏【プログラム・ノート】

日時:2016月5月28日(土曜日)午後3時から5時

会場:立教大学 池袋キャンパス 12号館第2会議室
   〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1

アクセス:「池袋駅」下車 西口より徒歩約7分

プログラム:戯作にみえる江戸の手習師匠
石山 秀和 氏(立正大学)

【プログラム・ノート】
江戸の戯作文学を近世史料として活用する試みは、当世の流行、すなわち都市江戸の文化を知る手がかりとして、歴史学にとって非常に多くの示唆を与えてくれたといえる。近年の研究成果では、青木美智男氏の業績が注目されるところである。

従来の教育史研究の中でも、いわゆる文学作品を取り上げて当時の教育の実態について考察した研究がなかった訳ではない。特に、都市江戸に暮らす人々の歴史を考察する場合、史料的な制約もあって、いわゆる古文書を中心とした文献史料にも限界があり、庶民を対象とした文学作品の史料的価値は無視できない。

ただし、戯作自体が虚構である限り、作品に表現された事柄を史実そのものと解釈することはできない。作品内容と符合する史実を、他の史料などを通じて復元する方法が求められるが、多くの人々に親しまれた作品の中の事柄が、史実そのものと判断できた場合、戯作文学が持つ史料的価値は非常に大きいものとなるだろう。

発表者はこれまでに、三馬、馬琴、一九の作品を通じて、都市江戸にみえる教育のあり方について考察してきた。教育の大衆化、なかでも馬琴の作品を中心にして、他人の模倣、すなわち流行ばかりを追いかける両親の姿から、大衆化した当時の教育社会の一側面について言及した。

本報告では、こうした大衆化した教育社会の中での、教師のあり方、すなわち手習師匠について江戸の戯作を中心に考察を進める。なかでも、都市江戸での特徴ともいえる女性の手習師匠についても触れる予定である。

〔石山 秀和氏 記〕

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