<第686回例会>
*日 時:2026年3月28日(土曜日) 午後3時~5時 (対面で実施)
*会 場:日本女子大学 目白キャンパス 百二十年館3階 現代社会学科実習室
*プログラム:話し言葉による言語活動の教育と標準語励行―沖縄の方言札を中心に―
梶村 光郎 氏
司 会 前田 一男 氏
【プログラム・ノート】
話言葉による言語活動の教育と標準語励行に関しては、沖縄の場合、地域語禁止のための罰札(以下方言札と称す)による標準語教育が最も注目されるものである。それは、明治期から昭和戦後期(1970年代)まで続いており、その期間の長さは、沖縄を除く他府県では見られないほど長いものである。その点に注目して言えば、方言札を用いた標準語の普及・教育・励行の活動は、沖縄の言語教育史を特徴づけるものである。そのようなことも関係してか、沖縄では方言札に関する投稿が地元の新聞の「声」の欄でよく見受けられた。しかし、よく言及される割には、方言札については、分からないことが多い。その例の一つが、方言札が沖縄の学校にいつ頃から出現したのかということである。同時に、いつ頃それは姿を消したのかということも未解決なまま残されている。
方言札の出現の時期については、学校記念誌に掲載された方言札に対する回想・証言、座談会の記録に基づき、沖縄県内の方言札の出現の全体状況を可視化できるようにした、近藤健一郎氏の研究(近藤「近代沖縄における方言札の出現」、『方言札』社会評論社、2008年)を中心に検証することを通して、最も古い方言札の出現の時期を示す事例を紹介する。その上で、その出現の時期から窺える意味について考察したい。また、方言札の消失の時期についても、「『方言札』体験調査表}やアンケート調査の結果に基づくと、1970年代の事例である方言札が四例あることが判明している。そのことにより、方言札の出現の時期と消失の時期について、現段階での回答を示すことができる。さらに、聞き取り調査とアンケート調査に基づき、「『方言札』体験調査表から見える方言札とその分布」、「方言札の実態」、「方言使用に対する指導」についても言及したい。
この他に、報告では、田中克彦氏の、方言札は「フランスあるいはその他のヨーロッパ諸国から学びとられた可能性が強い」という見方の問題点や、新たに発見された木札を用いた方言矯正方法についても紹介したい。
(梶村光郎 記)