<第649回例会>
*日 時:2022年2月26日(土曜日) 午後3時~5時 (オンラインで実施)
*参加事前登録の締め切り:2022年2月23日(水曜日) 午後11時59分
*プログラム:
☆「近代北海道における移住民と学校」
坂本 紀子 氏
司 会 大戸 安弘 氏
【プログラム・ノート】
日本の教育、とりわけ学校教育は政府が発した制度、政策によって進められてきた歴史を持つ。そのため、国内のほとんどの地域の教育は、政府が発信した教育法令や規則の条文にある内容どおりに(均一に)施行された、というイメージが強い。そして、そのような地域が“一般”的な教育の歴史過程にあり、それ以外は“特別”であると捉えがちである。しかし、例えば、近代の地方制度には市制町村制以外に、北海道町村制や沖縄県及び島嶼町村制もあり、多元的に地方統治が実施されてきたのである。教育についても、また、均一、画一的な内容で国民統合が目指されつつも、多様な実施形態が準備され提供されていたと考える。だからこそ、地域を対象としてそこで展開された教育実態を丁寧に紐解き、解明することが必要であると発表者は考えている。
発表者は、2004年以降、地方制度においても教育制度においても、国内の多くの地域とは異なる内容が施行された北海道の教育の歴史的解明に取り組み、北海道移住民と学校との関わりを、北海道庁設置後の地域の実態解明をとおして検討してきた。例会では、1886年から1945年までの時期を一区切りとして、日本の近代教育に準備された、一実施形態である北海道の教育制度と、その制度下で展開された地域の教育実態の特徴を整理した内容を報告する。
北海道庁設置後に「開拓」事業は本格化し、北海道に移住する人びとが増加する。1887年には第一次小学校令を受けて、北海道は「小学校規則及小学簡易科教則」を施行する。1895年には第二次小学校令を受けて「市制町村制を施行せさる地方の小学教育規程」を実施することを公布する。そして1898年には「簡易教育規程」を、1903年には「特別教育規程」を施行した。それら実施された内容は、北海道の「開拓」事業を優先する教育方針、実践内容、そして学校の在りようを示すものであった。その教育制度の下での北海道移住民による学校設置維持過程、そして子どもたちの実態の特徴を、報告する。
〔坂本紀子氏 記〕