<5月の例会>
日時:2013月5月25日(土曜日) 午後3時~5時
会場:謙堂文庫「池袋駅」「目白駅」下車 徒歩約7分
〒171-0021 東京都豊島区西池袋2-21-15
プログラム:
「旧制中学校補習科からみる「学校」と「受験」をめぐる問題」
吉野 剛弘 氏(東京電機大学情報環境学部)
司 会 天野 晴子 氏
【プログラム・ノート】
旧制中学校の補習科は、1899(明治32)年の中学校令に基づいて設置されることになった(その前にも一部の府県には事例が存在する)。法令に具体的な目的規定はないものの、その実態は上級学校の受験準備教育を施すものであった。しかし、その発展は地域によって一様ではない。また、ごく一部ではあるが、受験準備教育ではない教育内容を提供しようとした試みも存在する。受験準備教育は上級教育機関の拡大とともにその必要性を失うことはなかったはずだが、それとは裏腹に大正後期以降に補習科の設置数は減少することになる。9月入学の学校の消滅や徴兵猶予の問題がこれまでも指摘されているが、一方で補習科を外部組織に運営を投げるなどといった補習科をアンダーグラウンドな存在として維持させようとした動きが一部にみられることを考えれば、崇高な(?)理念に基づき教育を施しているであろう正規の「学校」が、「受験」というきわめて直截な、しかし切実な利益のために動くことが問われたとみることも可能である。自らの入学試験が厳しい批判にさらされることになった旧制中学校であればなおのことである。そこで、これまでの研究を横断的に整理するとともに、現在調査中の事例も交えながら、旧制中学校の補習科からみえてくる「学校」と「受験」をめぐる問題について考察していきたい。
〔吉野剛弘氏 記〕
今例会で司会の労をとってくださる天野晴子氏は、日本女子大学教授、本学会の理事です。