<第645回例会>
*日 時:2021年10月23日(土曜日) 午後3時~5時 (オンラインで実施)
*参加事前登録の締め切り:2021年10月20日(水曜日) 午後11時59分
*プログラム:
☆「九十九里浜の長期欠席の子どもたち―1950年代の貧困・基地・教育―」
鳥居 和代 氏
司 会 大島 宏 氏
【プログラム・ノート】
報告者は、1950年代に全国的に問題となった子どもの長期欠席について、千葉県の銚子市と九十九里浜沿岸の漁業地域を事例に、2015年から継続的に調査研究を進めてきた。その成果については、公益財団法人野間教育研究所の日本教育史研究部門「1950年代教育史」研究部会による共同研究の成果の一部として、本年度(2021年度)末までに紀要が刊行される運びである。今回の報告では、とくに九十九里浜の長期欠席の子どもたちに焦点を当てて、以下の内容を中心に取り扱う予定である。
第一に、九十九里浜の漁民の労働・生活状況と米軍高射砲射撃演習についてである。太平洋戦争の勃発から戦後にかけての漁業不況や、1948年4月に豊海海岸に設置された米軍高射砲射撃演習場による漁業への影響を明らかにする。長期欠席の子どもたちを多数生み出すことになった漁民層の置かれた実情に迫ろうとするものである。
第二に、九十九里浜の長期欠席の子どもたちと米軍基地をめぐる問題についてである。漁業を主とする「納屋部落」(海岸部落)と、農業を主とする「岡部落」との間の長期欠席率の落差、長期欠席の子どもの就業状況、そして米軍高射砲射撃演習をめぐって基地周辺の地域や学校において生起していた諸問題を検討する。
第三に、米軍基地周辺学校の長期欠席状況とその対応についてである。九十九里浜沿岸の豊海は、米軍演習用の諸施設が設置され、射撃危険区域が扇状に広がる始点に位置する町であった。米軍基地を持つ豊海における長期欠席の子どもたちの実態とこれに対する取り組みの一端を、豊海中学校の事例を中心に明らかにする。
最後に、補論として、米軍基地と周辺地域との関係について触れる。今回の報告で取り上げる豊海と、同じ千葉県内で米軍航空基地となった木更津を比較しつつ、両者の異同を考察する。そのうえで、基地をめぐる子どもと教育の実態解明にあたって何が求められるのかを、今後の課題として指摘したい。
〔鳥居和代氏 記〕
第645回例会(オンラインで実施) 鳥居和代氏の研究発表【プログラム・ノート】
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