日本教育史学会

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2月25日第658回例会(オンライン実施)笠間賢二氏の研究発表 【プログラムノート】

2月25日第658回例会(オンライン実施)笠間賢二氏の研究発表 【プログラムノート】

2月25日第658回例会(オンライン実施)笠間賢二氏の研究発表 【プログラムノート】

<第658回例会>
*日 時:2023年2月25日(土曜日)  午後3時~5時 (オンラインで実施)
*プログラム:
 ☆小校教員検定に関する研究 -戦前期日本のもう一つの「教員養成」-
         笠間 賢二 氏
  司  会   小野 雅章 氏

【プログラム・ノート】
戦前日本における小学校教員の養成と供給が師範学校によるそれに尽きるものでなかったことは、日本教育史の常識と言える。教員免許状取得者に占める師範学校卒業者の割合が例年3~4割に過ぎなかった事実が、そのことを端的に物語っている。それ以外の部分は師範卒以外の方法、つまり小学校教員検定による免許状取得者だったのである。しかしながら、この小学校教員検定については十分な研究が蓄積されてこなかった。そのために、その実3割強に過ぎない部分に焦点をあてた師範教育史研究の成果をもってあたかも教員養成の全体であるかのようにとらえ、また、逆に7割弱の部分についての検討吟味を踏まえることなく小学校教員の力量や性行を総括してその責めを師範学校に帰してしまうことが、少なからずあったように思われる。こうした状況は当然に克服されなければならない。
近年、小学校教員検定に関する研究成果が徐々に蓄積されるようになってきた。だが、率直にいって、論稿の数ほどに内容が充実しているようには思えない。何件かの研究を除いて、小学校教員検定の制度的研究(制度的仕組みの研究)に力点がおかれているからである。道府県単位の事例研究は不可避であるが、①何のために、②どんなことがらを明らかにするのかについて、共通認識ができているようには思えない。
本発表では、先行研究の現状をこのように総括したうえで、次の二点を課題とする。第一は小学校教員検定をより丁寧に分析することである。輩出した教員の割合の多さにもかかわらず、その研究は、師範教育に比べて、雑駁であり貧相であった。第二は小学校教員検定をその実施過程にまで踏み込んで分析することである。ここにいう実施過程とは、検定受験者の修学歴を含めた履歴事項の分析や、彼ら彼女らのどのような側面がどう評定されたのかなど、教員検定の実施内容に踏み込んだ分析のことを指している。実施過程にまで踏み込んだ分析を行わないことには、どのような要件で免許状が授与されたのかが見えてこない。教員検定における免許状授与要件を揃えてみることによってこそ、事例相互の比較が可能となるであろう。それらを蓄積することによって、教員検定による免許状取得者がどのような力量(質)をもった教員だったのかを解明する、その一助としていきたい。
      〔笠間 賢二氏 記〕

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