日本教育史学会

日本教育史学会は1941年から毎月の例会を開始し、石川謙賞の授与と日本教育史学会紀要の刊行を行う、日本の教育の歴史についての学会です。

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2013年11月23日(土)第584回例会:橋本萌氏【プログラム・ノート】

2013年11月23日(土)第584回例会:橋本萌氏【プログラム・ノート】

日時:2013月11月23日(土曜日)午後3時から5時

会場:謙 堂 文 庫  「池袋駅」「目白駅」下車 徒歩約7分

〒171-0021 東京都豊島区西池袋2-21-15

プログラム:「関東地方における小学校児童の伊勢参宮旅行―教化と動員の機能―」

橋本 萌 氏(お茶の水女子大学大学院)

司  会:高橋 陽一 氏

【プログラム・ノート】 今回は、「1930年代東京府(東京市)小学校の伊勢参宮旅行―規模拡大の経過と運賃割引要求―」、『教育学研究』第80巻 第1号、日本教育学会、pp26-38、2013年3月にまとめた研究成果を中心に、教育史学会第56回大会における発表内容「1930年代伊勢参宮旅行の拡大―関東地方における普及の要因と整備」(お茶の水女子大学、2012年9月)と教育史学会第57回大会における発表内容「東京府私立小学校の「関西旅行」「参宮旅行」に関する一考察―成城小学校を事例に―」(福岡大学、2013年10月)を加えて報告する。一連の研究は小学生による伊勢参宮旅行(以下、参宮旅行)が果たした教化と動員の機能について検討を加えるために取り組んできた。参宮旅行とは伊勢神宮参拝を第一目的とした小学校児童の修学旅行のことであり、1930年代日本各地に普及していた。

参宮旅行を検証するためには、①時代状況(総戦力体制につながる教育統制)、②地域(行政と文化)、③移動手段(鉄道普及とツーリズム)、④目的(伊勢神宮への信仰)といった多角的な視点から全体像をとらえる必要があると考える。

現段階では、関東地方における状況がまとまりつつある。関東地方は伊勢神宮から遠方にあるため、旅行という手段を取らずしては伊勢神宮参拝が実施できない。費用も近隣府県に比べ高くなるため、参宮旅行のための運賃割引(1937年6月鉄道省告示198号「小学校児童団体伊勢神宮参拝ノ為旅行スル場合ノ取扱方」)による効果が確認できる。一方で、東京府における全員参拝を目指す取り組みや、参宮旅行に対する積極的な意味付けが際立っていたということも、押さえておかなければならない。報告では、今後の展望を含めて発表を行いたい。

〔橋本萌氏 記〕

*今例会で司会の労をとってくださる高橋陽一氏は武蔵野美術大学教授、本学会の理事です。

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