日時:2014月1月25日(土曜日)午後3時から5時
会場:謙 堂 文 庫 「池袋駅」「目白駅」下車 徒歩約7分
〒171-0021 東京都豊島区西池袋2-21-15
プログラム:「新教育学校の創立基盤―自由学園を事例として―」
福原 充 氏
司 会:前田 一男 氏
【プログラム・ノート】 本報告では、報告者は新教育学校の学校外教育に注目している。従来、戦前期における子どもの個性や自治を重視する日本の新教育運動は、中野光の『大正自由教育の研究』(1968)に代表されるように、学校内で展開された教育方法の内容や教育思想が検討されることが多い。しかし、新教育学校の創立者の中には教育によって社会改造を実現し、よりよい社会の構築を目指していたという一面がある。
新教育学校の教育者たちが教育による社会改造の実現を目指していたとすれば、学校内における教育方法だけではなく、学校外の社会に向けてどのような活動を展開していたのかを検討する必要がある。そして、そのことが戦前期において展開された学校教育と社会との関連性を理解する一つの手助けになるのではないかと考えている。
本報告では、1921(大正10)年に創立した自由学園の創立基盤に注目し、一つの新教育学校誕生の基盤にある「社会改造」という思想を、創立者の創立前における社会活動から検討する。
自由学園は雑誌記者兼編集者として活動していた、羽仁吉一・もと子夫妻自身がキリスト教者であったことから、同学園はキリスト教思想を背景とした教育を展開したことでも知られている。羽仁夫妻の活動は学校教育に留まらず、『婦人之友』等を代表とする多数の雑誌を発刊している。また、雑誌読者を中心に「全国友の会」といった婦人団体を結成することで、多様な社会活動も展開した。
従来の先行研究では、羽仁夫妻は自分の娘が通うのに適した学校がない等といった理由で自由学園を創立したという見解が一般的であった。しかし、本報告では、同学園創立の基盤には、羽仁夫妻も参加したキリスト教の社会活動があったという立場をとる。
社会改造を目的とした同学園創立の基盤を明らかにすることで、大正自由教育運動の新教育学校にあった創立基盤とその活動展開に迫りたいと考えている。
〔福原充氏 記〕
*今例会で司会の労をとってくださる前田一男氏は立教大学教授、本学会の理事です。