日本教育史学会

日本教育史学会は1941年から毎月の例会を開始し、石川謙賞の授与と日本教育史学会紀要の刊行を行う、日本の教育の歴史についての学会です。

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2014年2月22日(土)第587回例会:吉田昌弘氏【プログラム・ノート】

2014年2月22日(土)第587回例会:吉田昌弘氏【プログラム・ノート】

日時:2014月2月22日(土曜日)午後3時から5時

会場:謙 堂 文 庫  「池袋駅」「目白駅」下車 徒歩約7分

〒171-0021 東京都豊島区西池袋2-21-15

プログラム:「森有礼の「学政」―国家・個人の二元論者として―」

吉田昌弘氏(富山国際大学)

司会:高橋陽一氏

【プログラム・ノート】 博士論文(2012年9月学位授与)の一部を再構成し、内容を付加して報告を行う。

本報告は、森有礼が国家と個人の価値的二元論に立っているという仮説のもと、森が持った論理を、特に「後期」を中心として、史料を通して究明することを目指す。丸山真男は、憲法制定に関する枢密院会議での森の発言について、「公的な権力関係と個人の不可侵な自然権との二元論」に立っているとした。しかしこの見解は、森の「国家主義」と「自由主義」を問題としてきた森研究において、これまで十分に省みられることがなかった。

本報告では、従来注目されなかった森の「学政」概念の形成過程と内実を明らかにする。「学政」概念を追うことで、森にとって文部大臣となることはいかなる意味をもち、それについて、現実の制度と対峙する中でいかなる対応を迫られたのか、が示されることとなる。

森の「学政」は文部大臣としての森自身を規定する制度的論理であり、森文相の発言や行動を理解する文脈となる。この方法による究明は、森のとっての「教育ト学問トノ区別」論や「帝国大学令」の意味について、新たな理解やその可能性を提示するであろう。また、国家と個人の二つの価値が接触する部分として、森文相の家庭教育に対する言及などに着目し、その具体的様相を究明することも試みたい。

〔吉田昌弘氏 記〕

*今例会で司会の労をとってくださる高橋陽一氏は、武蔵野美術大学教授、本学会の理事です。

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