日時:2014月7月26日(土曜日)午後3時から5時
会場:謙 堂 文 庫 「池袋駅」「目白駅」下車 徒歩約7分
〒171-0021 東京都豊島区西池袋2-21-15
プログラム:「占領・復興期の「混血児」教育-人格主義と平等主義の裂け目-」
上田 誠二 氏(横浜国立大学非常勤講師ほか)
【プログラム・ノート】 本報告では、敗戦後に日本女性と外国兵士の間に生まれた、当時「混血児」と呼ばれた子どもたちに対する占領・復興期の教育実践の展開過程を跡づけたい。
占領下の1948年7月に公布された優生保護法は、混血児に対して「不良な子孫」とのイメージを少なからず刻印し、差別を助長させていた。GHQや文部省はそうした現実には配慮せず、「無差別平等」主義の教育を推奨し、混血児の豊かな人間性と向き合うのではなく、単に混血児を全国の公立小学校にバラバラに入学させ、日本社会の中で不可視化させようとした。
しかし、そうした公立小における混血児と一般学齢児童の共学実践にあっても、現場の担任教師が学級会を通して民主的にいじめ解決に尽力する事例が確認できた。さらに、神奈川県大磯町のエリザベス・サンダース・ホーム園長・聖ステパノ学園小学校長の澤田美喜による混血児のみを対象とした実践では、一人ひとりの子の生い立ち・境遇・現状のみならず、将来の労働のあり方まで見通した人格主義の教育が確認できた。
総じて報告・討論では、戦後民主主義と教育、という大テーマを、混血児とその母といった、いわば社会的弱者の目線から考えたい。〔上田誠二氏 記〕