日本教育史学会

日本教育史学会は1941年から毎月の例会を開始し、石川謙賞の授与と日本教育史学会紀要の刊行を行う、日本の教育の歴史についての学会です。

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2015年5月23日(土) 第600回例会:工藤航平氏【プログラム・ノート】

2015年5月23日(土) 第600回例会:工藤航平氏【プログラム・ノート】

日時:2015月5月23日(土曜日)午後3時から5時

会場:謙 堂 文 庫  「池袋駅」「目白駅」下車 徒歩約7分

〒171-0021 東京都豊島区西池袋2-21-15

プログラム:日本近世における村役人の資質と地域教育

工藤 航平 氏(東京都公文書館)

【プログラム・ノート】

報告者は、日本近世後期から明治初期を対象に、これまで経済的・政治的側面から検討されてきた地域社会の実態・変容について、文化的側面から解明することを目指して研究を進めている。特に、複雑化・多様化・広域化する地域社会の安定的な運営を担った村役人層らの資質と再生産と、近世中後期以降に隆盛した地域教育との関係を主要なテーマの一つとして検討を行ってきた。

義務教育の存在しなかった日本近世の地域社会に於いて、人びとが求めた識字能力、期待された能力・資質は多様であった。そのような地域教育の多様性を近世社会の特質と考え、地域教育の実態を探り、一定地域で展開した教育を総体として評価するため、身分・家格・職種・社会的環境などの個別特性を踏まえて検証していくことを目指す。本報告では、在地支配の根幹である村請制の前提となった村役人の資質に注目し、その資質の形成・再生産に地域教育が如何に活用されたかについて検討する。具体的には、武蔵国埼玉郡八条領(埼玉県八潮市)や比企郡川島領(埼玉県川島町)を主なフィールドに、①近世後期以降、跡役願書に「算筆等も相応ニ」出来る人物であると明記されたことに顕れるような村役人に求められる資質とその変容、②多様性と差別化により多岐にわたる地域住民の学習要求を自地域内で満たすことが可能となった“地域教育大勢”のなかで、村役人層の資質形成の場が如何に形成・展開していったのか、③手習塾における村役人層子弟に対する教育内容の実態、について考えてみたい。

〔工藤航平氏 記〕

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