日本教育史学会

日本教育史学会は1941年から毎月の例会を開始し、石川謙賞の授与と日本教育史学会紀要の刊行を行う、日本の教育の歴史についての学会です。

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2017年2月25日(土) 第610回例会:国谷直己氏【プログラム・ノート】

2017年2月25日(土) 第610回例会:国谷直己氏【プログラム・ノート】

日時:2017月2月25日(土曜日)午後3時から5時

会場:立教大学 池袋キャンパス 12号館地下1階 第1会議室
   〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1

アクセス:「池袋駅」下車 西口より徒歩約7分

プログラム:昭和戦前期の茨城県教育と水戸学―「茨城県教育綱領」制定過程と水戸市竹隈小学校における訓育―
国谷 直己 氏(東洋大学・院)

【プログラム・ノート】
 昭和戦前の茨城県における郷土教育運動は、水戸学精神を涵養することが教育の目的となっていったことが、伊藤純郎や外池智の先行研究によって解明されている。しかしながら、報告者は水戸学と教育の関連性を、郷土教育の視点からのみでは完結できないと考える。茨城県において水戸学精神(弘道館記)と教育勅語の趣旨は一致すると捉えられ、郷土教育運動以前から「日本主義」に類する論理構造をもった教育論が表れていた。また、茨城県の郷土教育が『総合郷土研究』(茨城県男女両師範学校、1939年)の刊行をもって節目を迎えた後も、水戸学精神の教育はより一層色濃くなったように見受けられる。以上のような理由から、茨城県教育における水戸学の形成と展開を、郷土教育運動という枠組みの外から見直す必要があると考えたのである。そこで、本報告では以下の2点を取り上げる。
 1点目として、水戸学精神を基調とした「茨城県教育綱領」(以下、「綱領」と記す)の制定過程を再考する。外池は、茨城県の郷土教育運動を、「綱領」制定によって「一区切りを迎え」、「綱領」の実践化という形で「発展的に変容」したと位置づけた。しかしながら、「綱領」制定は郷土教育運動との連続性というよりも、県下教育界で起こった数々の不敬事件を収束させる役割が求められ、さらにその予防策として教員及び県民に水戸学精神を徹底させることが目的だった。
 2点目は、水戸市竹隈小学校における教員たちの教育観と実践である。竹隈小学校とは、「国民訓育連盟」の会員校の中でも、特に「訓育優良学校」とされた千葉東金小学校や神奈川鎌倉第一小学校、静岡大久保小学校と並んで称される城東小学校の前身校である。城東小学校は、水戸学精神を色濃く反映させた訓育論を展開し、『水戸学行城東の教育』(1941年)、『教行一如の教育』(1942年)を刊行した。それは、1933(昭和8)に竹隈小学校校長として赴任した山崎力之介が、訓導たちを指導・牽引してから躍動したようである。第一出版協会の編集者古閑停は、その訓育実践に目をつけ、雑誌『訓育』を1936(昭和11)年2月に創刊した。これに言及した先行研究は管見の限りない。その内容は、編集顧問の入澤宗寿、小西重直、長田新の論考と、竹隈小学校訓導たちによる実践研究が主となっていた。1938(昭和12)年になると他県他校の実践研究も登場し、同年8月に開催された全国的な講習会を経て「国民訓育連盟」が発足した。
 この間の史料調査で明らかになったそれらの様相を紹介したい。
〔国谷 直己氏 記〕

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