日時:2019月6月22日(土曜日)午後3時から5時
会場:立教大学 池袋キャンパス 12号館 2階会議室
〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1
アクセス:「池袋駅」下車 西口より徒歩約7分
プログラム:植民地支配と教育学
佐藤広美 氏(東京家政学院大学)
【プログラム・ノート】
大東亜共栄圏(1940~45年)、なぜ、教育学者の多くは先を争うかのようにして植民地支配を肯定し讃美する論説を主張するようになったのか。この事実は、いったい、どのように解釈されるべき事象なのだろうか。あるいは、そこにいたる原因はいったい何だったのか。私は、長い間、その点が気になってきた。本報告は、この点に関する私の考え(『植民地支配と教育学』2018年)を述べる機会にさせていただきたい。
私は、『総力戦体制と教育科学』(1997年)を出している。これは、戦時下における教育学者の「抵抗と転向」をめぐる思想史研究であった。1930年代のはじめ政府の教育政策の批判者として立ち現れた教育学者が、なぜ、1940年頃を転機に、国策(侵略戦争)に協力する意思=転向を表明してしまったのか、その思想的根拠を解くことがねらいであった。そして、なぜ、戦後教育学は成立してきたのか、その原因を考えてみようとした。
『植民地支配と教育学』は、前著の問題関心を大東亜共栄圏期における植民地教育論全体に押し広げて検討したものである。私は、そこで、戦時下教育学は「総力戦教育論」に収斂し、それは、日本精神主義教育論・戦時教育改革論・大東亜教育論(植民地教育論)のトライアングル構造によって出来上がっていたとした。
大東亜教育論(植民地教育論)の諸相、思想的特徴を述べてみる。また、植民地教育を批判した矢内原忠雄の同化主義教育批判を取り上げ、教育学者との違いを明らかにしたい。最後に、戦後(70数年)における「植民地支配と教育学」に関する検討(不十分性)について言及してみたい。
〔佐藤広美氏 記〕