日本教育史学会

日本教育史学会は1941年から毎月の例会を開始し、石川謙賞の授与と日本教育史学会紀要の刊行を行う、日本の教育の歴史についての学会です。

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2017年10月28日(土) 第616回例会:長谷川鷹士氏【プログラム・ノート】

2017年10月28日(土) 第616回例会:長谷川鷹士氏【プログラム・ノート】

日時:2017月10月28日(土曜日)午後3時から5時

会場:立教大学 池袋キャンパス 12号館地下1階 第2会議室
   〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1

アクセス:「池袋駅」下車 西口より徒歩約7分

プログラム:「師範型」論の再検討―師範生徒の教養を巡る議論を中心に―
長谷川 鷹士 氏(早稲田大学・院)

【プログラム・ノート】
 発表者はこれまで「師範型」論について、その内容や妥当性を検討してきた。「師範型」といえば戦前の師範教育が生み出してしまった好ましくない教員像である。例えばそれは唐沢富太郎によれば「着実、真面目、親切などがその長所として評価される反面、内向性、裏表のあること、すなわち偽善的であり、仮面をかぶった聖人的な性格をもっていること、またそれと関連して卑屈であり、融通性のきかぬ」性質であるとされ(唐沢、1955)、あるいは山崎奈々絵によれば「視野が狭い、社会性に欠ける、権力に従順で主体的な判断力に欠ける」性質とされた(山崎、2017)。そして、そうした型の教師を生み出さないために戦後の教員養成は教養教育を重視する「大学における教員養成を原則とした。
 つまり「大学における教員養成」原則はある一面では「師範型」論に基づいて形成された原則である。「師範型」を再び生み出さないための原則である。従って教員養成政策を考える際に「師範型」を避けるという課題意識を考慮する立場もありうる。例えば沖塩有希子が教職大学院制度に対して「師範型」論を吟味した上での改革でないと批判していたり(沖塩、2013)、山崎奈々絵が戦後の教員養成は「師範型」克服という課題を等閑視してきたと批判しているのなどが代表的事例である(山崎、2017)。こうした立場がある以上、「師範型」の捉え方が重要な問題として指摘できるはずである。つまり「師範型」とはそもそも何を批判していたのか。「師範型」はそもそも現実の戦前の初等教員の性質をどの程度捉えられていたのか。こうした点を明らかにすることは「師範型」論に基づく教員養成批判を吟味することにつながる点で有用と考える。
 そこで今回の発表では教育雑誌上の言論や各種調査を用いて、師範生徒がどのような性質を持っているとされ、それがどのように問題視されていたのかを検討する。検討時期はおおよそ大正期とし、主に師範生徒の教養に関する言論を対象とする。そうした作業を通じて「師範型」論を再構成してみたい。
(参考文献)
沖塩有希子「教員養成教育のあり方に関する一考察:教員の資質能力向上に関する中央教育審議会答申を手がかりとして」『千葉商大紀要』51巻1号、p.69、2013.9。
唐沢富太郎『教師の歴史』創文社、1955、p.55。
山崎奈々絵『戦後教員養成改革と教養教育』六花出版、2017、p.259。
〔長谷川鷹士氏 記〕

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