日本教育史学会

日本教育史学会は1941年から毎月の例会を開始し、石川謙賞の授与と日本教育史学会紀要の刊行を行う、日本の教育の歴史についての学会です。

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2018年1月27日(土) 第619回例会:前田一男氏【プログラム・ノート】

2018年1月27日(土) 第619回例会:前田一男氏【プログラム・ノート】

日時:2018月1月27日(土曜日)午後3時から5時

会場:立教大学 池袋キャンパス 12号館2階 会議室
   〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1

アクセス:「池袋駅」下車 西口より徒歩約7分

プログラム:歴史的転機としての長野県教員赤化事件(「二・四事件」)の研究
前田 一男 氏(立教大学)

【プログラム・ノート】
 長野県教員赤化事件(通称「二・四事件」)とは、「信州教育」と全国的に高く評価されていた長野県において1933年2月4日から半年あまりの間に、多くの教員などが治安維持法違反として次々に検束され、報道管制が敷かれつつ記事解禁後には大々的に報道された事件をいう。具体的には、教育労働運動に対する大規模な思想弾圧事件で、検挙取り調べ者608名のうち教員が230名を占めていたため、「教員赤化事件」と呼称された。尊敬の対象である教員が検挙されるという「未曽有の事件」は、その学校にとってだけでなくその地域社会にとって、またその家族にとって衝撃的な事件であり、社会的影響力は、各種新聞や教育雑誌などの報道によって、長野県にとどまらず全国に波及していった。さらにこの事件は、信州教育の「汚点」として猛省され、信濃教育会の指導のもと戦時下においては満蒙開拓青少年義勇軍の送出という国策の遂行において全国一位の実績をあげるまでになっていった。
 地域教育史の白眉とされている『長野県教育史』(全18巻 1972~83年)は、戦前と戦中との時期区分を明確に1933年の「二・四事件」においている。戦時体制へと向かう歴史的転機となった「二・四事件」とは、改めてどのような点で歴史的転機であったのか、なぜそれが教育県として名声を誇っていた長野県で起こったのか、いかにして「教員赤化事件」として仕組まれていくのか、その点で報道はいかに活用されたのか、これらのプロセスにおいて歴史的な教訓とは何なのか、という諸課題が浮上してくる。
 それらの諸課題を、「二・四事件」の背景にある大正自由教育からの批判的継承、特高警察による「教員赤化事件」としての構築過程、事件後の学校再建過程に見られる教権の独立への志向性、従来一方的な批判の対象であった信濃教育会内部の対立する指導体制分析といった観点を加えることで、その転換の意味と変質過程とを明らかにしていきたい。
〔前田一男氏 記〕

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