日本教育史学会

日本教育史学会は1941年から毎月の例会を開始し、石川謙賞の授与と日本教育史学会紀要の刊行を行う、日本の教育の歴史についての学会です。

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第654回例会(オンライン実施)宮坂朋幸氏の研究発表【プログラムノート】

第654回例会(オンライン実施)宮坂朋幸氏の研究発表【プログラムノート】

<第654回例会>
*日 時:2022年10月22日(土曜日)  午後3時~5時 (オンラインで実施)
*参加事前登録の締め切り:2022年10月19日(水曜日)  午後11時59分
*プログラム:
 ☆「教師」「教員」再考
              宮坂 朋幸 氏
         司  会  小野 雅章 氏

【プログラム・ノート】
 明治5年4月「小学教師教導場ヲ建立スルノ伺」に象徴されるように、明治政府・文部省は「かつて幕藩時代にはこの国の教育思想のなかにほとんど見出すことのできなかった」「教師は養成されるべきものだ」という思想を選び取り、「『師匠』から小学校『教員』の造出への歩みをふみ出した」(寺﨑昌男編『教師像の展開』)。「教師」は養成されるべきものという思想を選択して「教員」の造出に向かった、というこの文章は、この国の「教員養成」の始まりを端的に表現しているともいえる。しかし一方で、「教師」と「教員」の違いには言及されず、「師匠」と「教員」の間に入るはずの「教師」の位置付けも明示されないなど、なぜそう表現できるのかの説明が不足している。2021年刊行の船寄俊雄編『近現代日本教員史研究』は、序章に「教師と教員」という付論を設けてはいるものの、1974年の佐藤秀夫説の「ニュアンスに同意」すると述べながら、「(本書では)厳密な使い分けを徹底しているわけではない」として、その違いについての吟味を留保している。その佐藤秀夫が「明白に使い分けられていた」と指摘する明治初期を対象にした第1章第1節、第2節でも「教師」と「教員」の違いには言及されない。
 果して「教員史」研究にとって、「教師」「教員」の違いを検討することに意味はないのか。本発表では、発表者がかつて研究していた教職者の呼称の変遷とその含意について再検討する。拙論によれば、「教員」は1872(明治5)年「学制」という法令に日本史上初めて規定された呼称であり、それ以前にはほとんど使用例がなかった。それに対して「教師」は「教員」以前から使用例が見られ、先行研究が指摘する「外国人教師」だけでなく、地方には多くの「教師」がいた。さらにさかのぼれば、「教師」以前には「師匠」や「師範」が一般的な呼称であった。
 本発表では日本教育史上のこの流れ、すなわち「師匠」→「教師」→「教員」という登場順序を再検証しながら、それぞれの呼称の特徴について考察する。  〔宮坂朋幸氏 記〕

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