日本教育史学会

日本教育史学会は1941年から毎月の例会を開始し、石川謙賞の授与と日本教育史学会紀要の刊行を行う、日本の教育の歴史についての学会です。

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2015年12月26日(土) 第606回例会:堀之内敏恵氏【プログラム・ノート】

2015年12月26日(土) 第606回例会:堀之内敏恵氏【プログラム・ノート】

日時:2015月12月26日(土曜日)午後3時から5時

会場:立教大学 池袋キャンパス 12号館地下第2会議室
   〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1
   〔TEL:03-3985-2166〕

アクセス:「池袋駅」下車 西口より徒歩約7分

プログラム:「帝国大学体制」研究の課題と意義―大学令以降を中心として―

堀之内 敏恵 氏(お茶の水女子大学・院)

【プログラム・ノート】

報告者は教育史学会第59回大会において、「『帝国大学体制』とは何だったのか」と題したコロキウムを共同企画者の田中智子氏(同志社大学)と設けた。そこでの発表内容、参加者との議論を踏まえて、「帝国大学体制」という枠組みを再考する際の課題とその意義について、今後の展望も含めて報告する。

「帝国大学体制」とは、酒井豊・寺﨑昌男・(中野実)氏が『日本近代大学成立期における国家、学術体制ならびに大学の関連構造に関する研究』(1989)で提示し、その後、中野実氏が『近代日本大学制度の成立(2003)』所収の論考等で用いたことにより普及するに至った枠組みである。「帝国大学を根幹として帝大とそれをめぐる諸制度が国家体制と密接な関係を保ちながら調整され、大きく構造化されていった。その全体構造を表現するもの」あるいは、「帝国大学を中心とする軍・産・官・民のネットワーク」などの定義にみられるが、その含意は明瞭ではない。

本報告では、第一に、「帝国大学体制」という枠組みの「概念」史を検討する。論者がこの語を如何に解し、使用したのか、この語を使用することによって考えようとしてた、帝国大学を取り巻く「問題」を整理する。そのうえで、第二に、「帝国大学体制」という枠組みの「有効性」について検討する。「概念」史の検討により析出された「問題」の相互関係の考察をとおして「帝国大学体制」という枠組みから見た、戦前の高等教育体制の特徴について、検討を試みる。今後の展望として国際比較の視点も示せればと考えている。

〔堀之内 敏恵氏 記〕

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